『日本のいちばん長い日』

『日本のいちばん長い日』半藤一利著、文春文庫。

半藤一利が文春の編集長として、松本清張や司馬遼太郎という大家から何かと目をかけられていたことは彼らとのやり取りを書いた本で読んだことがあります。
ただ、この『日本でいちばん長い日』は最初は大宅壮一編という形で世にでていたので、全然気に留めていなかった。
いつ頃なのか、それが半藤一利の著作として出版されていた。その辺の事情は名の売れていない者が出版しても本は売れないだろうという会社側の意向もあり、また編集部次長という立場もあり、仕方がなかったのだろう。

それにしても、広島・長崎と2度の原爆投下を待たなければ終戦、いや敗戦を受けいれることができなかった日本の軍部の姿は、近代国家に住もう人々ではなかったのだということが改めて実感できます。
人の命が国家よりも重いなどという考え、いや言葉さえどこか異次元の世界の話でしかなかったのでしょう。

半藤一利氏の訃報を知ってから、図書館で彼の本を読みましたが以前感じていた保守の側に単純に位置する者ではないことが分かります。

中国侵略以降の日中戦争について、あれは欧米列強の植民地になっているアジアの国々を開放する役目もあったのだと主張する人々がいますが、半藤氏は当時の日本政府の文書を調べて、日本のアジアでの戦争目的に欧米列強の植民地になっているアジアの国々の解放などは一度も公式文書として書かれていたことがなかったことを明らかにしています。
つまり、当時の日本政府にも軍部にもアジアに侵略する方便としてもアジアの開放などは露にも考えてなどいなかったというのです。

ところで、国とは何か、国家とは何かという問題は何も終戦で終了した問題ではありません。

世界中で流行しているコロナ禍でも、日々問われている問題です。

日本では、新型コロナ特措法の改正で、罰則規定が設けられますが、何も処置されなくて死んだ国民の責任については誰も言いません。国民に命令することを明文化することが国家の立場を考えているのでしょう。

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