死者を手離しなさい

何と言う詩人だったろうか。
西條八十だったか八木重吉だったか、名前が覚えだせない。

子どもを、自分の娘を幼くして亡くした詩人は、四十九日を過ぎても百ケ日を過ぎても、亡くなった娘を偲んでは泣いて暮らす日々が続いていたのですが、ある晩夢枕に娘が出てきてこう言われたそうです。

「お父さん、もう泣かないで下さい。私はもう天国へと旅立ちたいのですが、お父さんがあまりに泣くので背中の羽が涙で重たくなって飛ぶことが出来ないのです。だから、私のためにもう泣かないで下さい。」

そう夢の中で言われたそうです。

生きている人が死者を手離してやらないと死者はこの世から自由にならないのではないでしょうか。

先日、知人宅へお邪魔して話をしていた時、そこの奥さんが6年前にガンで亡くなったお兄さんのことをつい最近亡くなったかのように、何でセカンドオピニオンで他の医療機関を受診しなかったのかと怒りの表情で話していました。

そのお兄さんは自分の判断で医大を選び信頼して治療を任せたのですから、妹である奥さんの怒りは誰に向けられているのか、聞いていて戸惑いました。

死者であるお兄さんをもう手離してやってもいいんじゃないのかと感じました。

死んだお兄さんも妹である奥さんも哀しいな。

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