「自由」という名の桎梏

  自 由

社長になる自由
小さいけれど一国一城の主になる自由
株で儲けて億万長者になる自由

まずは最初に
職業選択の自由があり
学問の自由があり
居住移転の自由もあります

それと
就職できない自由
正社員になれない自由
失業してしまう自由も
ちゃんと用意されている社会です

81歳になる男が
今日からあなたは自由ですと言われました
男は聞きます
作業はどうしますか
何時に寝たらいいですか
何時に起きたらいいですか

「自由」が分かりません
男から出て来る言葉は
分からん分からんという呟き

施設長と名乗る人は81歳の男にこう言います
作業はありません
あなたは今日から自由なんですから
あなたの好きなようにして下さい
テレビとベッドしか置かれていない部屋で答えました

2週間後
男は風呂に入らないと言い
食事も食べたくないと言う
施設で接してくる職員に口答えをするようになったといいます

そこで施設長と名乗る人は
81歳になる男に今度はこう言います
あなたは若いときに
そう60年以上も前のことだけど
5歳と小学生を持った母親を殺めたのだから
その罪をここでも懺悔し続けなければいけないのだと

男は言います
俺は分からないのだ
「自由」が分からないのだ
それなら俺を刑務所に返してくれ
どんな手続きをすればいいのだと聞くのだが施設長は
ただただ あなたは自由になったのだという

男は刑務所から仮釈放で施設にきてから丁度1年目で死んだ

*「日本で一番長く刑務所にいた男」という題のテレビ番組だったと思う。途中から見たので最初に部分にどのようなことが描かれていたのかは説明できないが、番組がスポットライトを当てていたのは81歳の無期懲役囚。その彼が収監から60年後に仮釈放されて身元引受人となった施設に来てからの映像です。
無期懲役囚といっても模範囚ともなれば20年をすぎれば仮釈放が認められる場合が多くあります。ただ、この男性の場合、戦争孤児であったため身元引受人がいないという事情がありました。また地下鉄サリン事件が起きてからは無期懲役囚は30年以上経過しないと仮釈放を認めないようになったのです。
しかし、受刑者の高齢化は刑務所内での介護問題を引き起こしています。そのため、平成21年からは高齢者や障碍者などの模範囚の場合は身元引受人がいれば仮釈放させる方向になり、各種の施設側もそのような人たちを受け入れる試みを始めました。
番組で登場した施設もその1つです。
81歳の男は、刑期20年を過ぎてから何度も仮釈放の申請をしていましたが、ことごとく却下されてきました。模範囚として月に四・五回は教誨師のもとを訪れて罪の懺悔をしていたと受刑者の同期の人は語っています。
それが81歳になった時に仮釈放となったのです。無期懲役囚ですから無罪放免ではありませんが、一応は社会復帰のための訓練という名目です。
でも、毎日の作業がなくなって、あなたは今日から自由ですとテレビとベッドだけの部屋に取り残されて男が戸惑うのは理解できます。
「分からん分からん、俺は分からないのだ」と言っていた男の言葉が耳に残っています。

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