言葉が作られる

『大槻文彦 言海 辞書と日本の近代』安田敏朗著、慶応義塾大学出版会。

>又今の東京言葉には、維新の際所謂官軍に依て作られたものが多い、即ち薩長土肥の武士等が、江戸に侵入して、其の勢に乗じて快楽も縦(ほしいまま)にし、芸妓と遊び、幇間と戯れるといふことも盛んであッた、其のとき芸妓或は幇間などの言葉を聞いて、彼等は直に之を江戸言葉と思った、夫(そ)の「デス」「デセウ」の如き下劣な言葉が、即ち夫れである、彼等は好でそんな言葉を学び、また是に似せて、「サウデアリマス」などいふ言葉を作り出した「サウデアリマス」などいうふ言葉は、江戸にはなかッた、かやうに江戸言葉のまがいを彼等が作り出して、それに諂ッて地の者もその口真似をするやうになッて、一般に用ひらるる様になった

言葉が定着し広まることがどのようなことかが書かれています。
これは「万葉集」でも見られたように、それまでの支配的な階層・階級が他へと移って行く過程で語の変化をもたらす事例です。

「言海」を編纂した大槻文彦氏は仙台藩の流れをくむ者で父盤渓は明治維新の時に入牢しています。それ故、明治期最初の支配層についた薩長土肥の武士等に対しては面白くはありません。言葉使いについても「デス」「デセウ」を芸妓・幇間が使う下劣な言葉と一蹴しています。

今では、「です」「でしょう」を下劣な言葉だと指弾する人はいないでしょうが、明治期に広まった言葉だということを知りました。

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