鬼の正体

『アンソロジー』吉本隆明著、筑摩書房より、

大江匡房『傀儡子記』
「傀儡子は、定まれる居なく、当る家もなし。穹蘆氈帳(きゅうろせんちょう)、水草を遂ひて移徒す。頗る北狄(ほくてき)の俗に類たり。男は皆弓馬を使(わきま)へ、狩猟をもて事と為す。或は双剣を跳らせて七丸を弄び、或は木人を舞はせて桃梗を闘はす。・・・」


傀儡師なる職業が辞典に載っていますが、そのような集団が鎌倉幕府時代以前から見られたようで、田畑などの収穫に左右されないために当時の支配網からはみ出していました。
その者たちは、住む家を持たず匈奴がもつ天幕のようなテントに住み、水や草を求めて移動する。
男たちは弓や双剣を振り回し、乗馬に巧みで、或いは七つの鞠を手玉に取ったり、桃の木で作った人形で角力をとらせたりとよりして、まるで生きた人間のように人形を扱う。
女は愁わしげな細い眉をえがき、腰をくねらせて歩いたり、また歌をうたい、淫らなまねをしてみせ、しなしば旅人などと一夜を過ごすことをいとわない。

傀儡子とは、土着している農民にして見れば得体の知れない集団であり、自分たちの持つ生活観などと真っ向から対立する思想を持ちこむ人々です。これが脅威でなくてなんでしょうか。

ただ、土着民としての農民からすれば、収穫が期待できる年は彼らを蔑み馬鹿にすることもできますが、自然災害などにより収穫が見込めなくなった時は、土地にしがみついて税を収奪される自分たちの運命を呪わずにはいられません。

その時に、彼らの存在が頭の中にちらつかないはずはありません。
親である自分たちはともかく、成人する子供たちにとっては、魅力ある存在になるように思います。

それが普段は鬼と呼ばれる人たちのことではないでしょうか。

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