乗馬指南書発見!・・・『マンボウの素人乗馬読本』北杜夫著

素人が素人に教える乗馬の指南書はそうそうあるものではありません。
何故なら、馬は基本大人しい動物ですが図体が大きいので扱うのには危険を伴うことがあります。ですから、馬の生態などを知らずに実体験だからと言って素人が簡単に他人に教えるのはそれ相応の慎重さが必要になります。

僕も何冊も初心者向け乗馬教本を買い、読みました。でも、本からの知識でカバーできるものはそんなに多くないような気がします。

表題の本にも書いていますが、馬に乗ると言っても、乗馬と馬術があります。

乗馬はそれこそ観光牧場の牽き馬から、外乗といって森や林に分け入ってするものまであります。
でも、それは所詮自分達だけの楽しみです。

ところが馬術となると違ってきます。
馬術は、競技大会での演目が基本なので、そこで要求される技術は審判員に見せる部分があります。
しかも、人馬一体ですから、人が馬へ指示を出すということだけでなく、馬自身がそれを自分のことのように受け止めて馬自身の意思であるかのような動きをすることが求められます。

また、競技大会での成績ですから、個々人の点数や成績にとどまらず、乗馬クラブ同士のプライドというか権威付けというか、安全に楽しく乗っていますという乗馬レベルとは違った面が出てきます。

僕の通っている乗馬クラブはリーズナブルな施設なのですが、他の乗馬クラブへ体験乗馬をしに行った人の話では、どこそこの乗馬クラブで乗っていますと話すと、「ああ、あそこで乗っているのなら、自由に乗って下さい」と返してくれるクラブと木で鼻を括るような返答が返ってくるクラブとあって、その違いにびっくりしたと話していました。

『マンボウの素人乗馬読本』の著者は北杜夫です。
本好きの方なら、昔、ドクトルマンボウとか言うシリーズのエッセイが売れていたことを御存じかも知れません。もっと詳しい人なら、父親が歌人の斎藤茂吉で、兄が斎藤茂太、本人は躁うつ病で様々なエピソードの持ち主というところまで知っているかも知れません。

僕も上記程度の予備知識はあったので、素人の乗馬エッセイだろうと思って読み始めると、意外や意外!ちゃんとした実体験に基づく彼流の乗馬術が書かれていました。

>兼好法師は芸位を、初心、堪能(かんのう)、上手、名匠の四つにわけ、世阿弥は、初心、上手、名人、天下の名望を得たる者の四段階にわけている。

乗馬を芸事として考えるなら、僕も初心からどこまで進んでいるのか心もとない気がします。

上記の本の中に大坪流の教訓として歌が残されています。(この大坪流が昔の馬術指南書なのかは、調べていないので分かりません。ゴメンナサイ)

左右の肘に鞠を挟める心もて
   開かば落ちんしめてつぶれん
馬を乗る乗人の頭直くにせよ
   出るも見苦し伏すも見悪し
物見には乗る其馬の頭より
   一丈ばかり前を見るべし
乗る人の眼の着く方へ馬の気も
   つれて寄るぞと心得て乗れ
拳をば立てるもあれば伏せるあり
   立てず伏せざる拳は中道
指尖を揃へて手綱執る人の
   拳はいつも綺麗にぞ見ゆ
手綱をば玉子を握る程に持て
   ゆるくばおちん締めてつぶれん
手綱をば引かずゆるさずよき程に
   釣合ふ人に馬ぞしたがふ

*上記の拳の歌は、下腹の前で確実に手綱を持って、拳が外に曲がったり、下方に折れるのは威力がなく、馬の口の銜が強く引っぱられて、運動を妨害するなという教訓です。

まあ、そうは言っても理解できてもそれが出来るか或いは出来ているかは別物です。

著者の北杜夫も、医局員時代の若いときに夏休みを利用して軽井沢での外乗が馬乗り体験の出発です。その時代の軽井沢には数十軒の貸馬屋があったそうで、道路もほとんど舗装されていない状態だったようです。
ですから、駆歩(キャンター)だけでなく襲歩(ギャロップ)までだして楽しんだと書かれています。

服装もジーパンに運動靴で、拍車も運動靴の上につけたので、拍車がずれてそれが馬の腹にきつく当たって馬が暴走したことが何度かあり、それが彼の乗馬技術向上に役立ったようです。
また、下り坂での望まぬ襲歩体験などにより、馬の見極めや危険回避の方法なども独自でつかんだようです。
どうも彼の騎乗スタイルは片手手綱のようです。一種、カウボーイスタイルのようですが、ウエスタンの鞍は苦手とあります。

本の中では、馬が急に暴れて走り出すことを「引っかける」と書いています。(僕の行っているクラブでは、「馬がかかる」と表現していました)と同時に、襲歩(ギャロップ)を出しても落馬をしない独自の乗り方も書かれています。

観光乗馬では馬を停める方法を「手綱を引いて下さい」と教えますが、馬と手綱で綱引きをして勝てることはないので、馬が動きにくい円運動に入らせることが一番いいかも知れません。
また、馬を全速力で少しの間走らせて疲れるのを待つ方法もあるでしょうが、競走馬出身のサラブレッドなら千メートルでも短距離なので数分間全速力の馬に柵もない場所で乗り続けるのは素人には難しいでしょうね。

暴走した馬を停めるのに普通に教えられる方法は、輪乗りをしてスピードダウンさせて落ち着かせる方法ですが、北杜夫が編み出したのは、手綱とたてがみを一緒につかむやり方です。このやり方で襲歩もし、暴走しそうな馬を停めていたそうです。

僕も、馬が暴走して壁のような坂(柵があって登れません)に向かって真っすぐ馬が突き進んだ時に、きこう当たりのたてがみをむんずとつかんで馬を落ち着かせた経験があります。

暴走馬を停めるのにたてがみを掴む方法は有効かも知れません。但し、そんな事ばかりをしているとインストラクターに怒られるかも知れません。

僕も暴走された経験があります。
その馬は、いわゆる軽い馬(扶助に対する反応が敏感)で、それまで重たい馬に乗っていましたので、一瞬自分の乗馬技術が上手くなったのではと勘違いをしました。それで、馬を自由自在にコントロールしようと左右の脚で扶助を交互にしていたら、馬が僕の扶助にイライラしたのか急に走り出しました。
それも駆歩ではなく、明らかに襲歩に近い状態です。その速さで馬場を二周ほどしたのですが、手綱を引っ張って止めることは危険と認識はしていたので、どう止めていいのか迷っているうちにバランスを崩して落ちました。
ビビりましたが、少しは競走馬の騎手になった気分は味えたでしょうか?

話を戻します。
観光牧場でない、或いは外乗がない乗馬クラブの場合は、レッスン乗馬と言っても馬術の方へ寄ってきます。
そうすると、自分の習熟度を測るのにどうすればいいかと言うと、競技会にでるのが近道でしょうか。

でも、競技会にでるのって意外とお金が掛かりますし、それよりも自分が自分の技術に納得して競技会にでるためには、週に一度程度のレッスンでは全然足りません。

正直、乗馬歴9年目を過ぎても400鞍程度なので、全然上手くなった感覚がありません。
もちろん、乗る馬に左右されるので乗る技術というのも不確定要素があります。

そうなると、やっぱり楽しんで馬に乗せてもらっている今の状態がベターではないでしょうか。

話が本の中身からどんどんずれてきました。

日本の乗馬技術は戦後の場合、軍隊の乗馬技術が基本だったらしく、馬の胴体を膝でしっかり締め付けるのが普通だったとあります。
現在はどうなんでしょうか?

最後にイスラム経典のコーランにある言葉を書いて終わります。

<天国はコーランと、美人の胸と馬の背とに在り。
 世界の財産は汝の馬の視界の中に在り。
 多くの大麦を馬に与うれば其罪消滅す。
 マホメットは馬に乗りて月界に達せり。>



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント