弔鐘をきく

『武道的思考』内田樹(うちだたすく)著、筑摩書房。

上記の本に書いていたのだけど、看護師さんの中には「死臭」を嗅ぎ当て、瀕死の人のかたわらに立つと「弔鐘」の音が聞こえる人がいるそうです。最初のうちは同僚にも信じてもらえなかったそうですが、彼女たちがあまりに高い頻度で「次の死者」を言い当てるので、ついには当直の医師たちも「この患者、鐘鳴っている?」と訊くようになったそうです。

これは何の能力だろうか、著者は、それは「弱さ」が発信する微弱なシグナルをあやまたず聴き取る力だろうと推測しています。

このことで思い出しましたが、『宮沢賢治』という本で、吉本隆明は宮沢が書いた「銀河鉄道の夜」の評価として、最初の授業の場面には<察知力>が表現されていると書いていました。

授業の場面はこうです。
学校終わりには生活のために活字拾いのバイトをしていつも疲れているジョバンニが、先生からの簡単な質問「天の川のこのひかりの流れはなんでしょうか」というものに答えられないでいる姿があり、次に当てられたカンパウレラもジョバンニが答えられないでいる事情が分かっているのでもじもじしています。その二人を見た先生は、その二人の事情を瞬時に了解し、自分で正解を生徒に披露します。
この三人の中にあるのが<察知力>だと書いています。

宮沢賢治はそういうお互いが何か言葉を交わさなくても通じ合うものが大事なものだと表現したかったのだろうと、吉本隆明は書いています。
つまり、宮沢賢治は、この作品で説教的にもならず、自分の思い描く宗教的なもの、思想的なものを表現できたのだと指摘しています。

僕はこの「弔鐘」の話を読んだ時に、<察知力>と相通ずるものがあるように思いました。

昔のCMで高倉健が「男は黙って・・・」というのがありましたが、人間は言葉をもって意思伝達をしている動物ですが、それでも言葉というコミュニケーションだけではすべてを意思伝達できないものがあると僕らは確信をもって言えるのではないでしょうか。
それがなにかといわれると返答に困るのですが、あえて言えば感じる能力でしょうか。

でも、この頃は必要以上に感じてしまう病状も見られ、こちら側の用意がないと無残な結果になることもあるようです。

どうもこれ以上書くと迷路に迷い込みそうなのでここらへんでやめます。

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