早く言ってよ

シリーズ この人に会いたかった⑤
『アイヌ語のむこうに広がる世界』中川裕、編集工房SURE刊。

<中川>・・・いくつか、問題を分けて考えると、ひとつには、少数言語あるいは西欧的な文明社会じゃないところに暮らしている人たちの言葉は未熟である、という考えは、言語学では非常識ということになっている。
 あらゆる言語が、同じように複雑な機構を持っている、何語だろうが、別の言語より発達しているとか複雑であるとか、単純だとか、そういうことはあり得ない、というのが言語学の常識なんです。
 たとえば、日本語は主語がないので、非論理的な言葉であると、長いこと言われてきたし、日本人の日本語学者がそう考えていたりするんだが、そんなことはない。
 なぜなら、いま、世界中の言語の文法がどうなっているかという研究がひじょうに発達しているわけだけれども、その結果、主語を必ず言わなければならない、英語とかフランス語とかドイツ語のような言語は、ヨーロッパの西側のところにしか存在していないということが、はっきりしてきた。
 だから、日本語には主語がない、というだけじゃなくて、ヨーロッパの西側をのぞくほとんどの民族の言語では、主語を必ずしも必要としていないということがわかってきた。すると、逆に、なぜ主語を言わなければならないのかということのほうが問題になってきた。主語なんか、大概の言語では言わなくていいんですよ。ところが英語などでは主語を言わないと文法的に破格になってしまう。いったいなぜそんなことになるのかというのが、むしろ研究のテーマになってくる。

この本は座談形式で話が進められています。

中川裕さん・・・言語学者、千葉大学教授、1955年生まれ。
アイヌ関係の主な図書・・・『アイヌの物語世界』(平凡社ライブラリー)、『アイヌ語をフィールドワークする』(大修館書店)
*現在テレビで放映中の「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修は中川裕さんが担当しています。

英語の会話本では、英語文の基本として主語を置かないとダメだと書かれています。
そして、日本人が英会話で躓くのはこの主語を入れて文章を作ることではないかと思います。

でも、言語研究の成果を見れば、主語を置く会話のほうが少数派なんだという事で、なんか安心しました。

何故英語などの言語では主語を置くのかという問題ですが、素人的な類推をすれば近代的個人の確立という事がキーワードではないかと勝手に想像してしまいます。

いずれにしても、もっと早く言ってよという感じです。


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