ゲド戦記の底に流れるもの

「ゲド戦記」がスタジオジブリで作成したアニメ映画にあることは知っていたが、原作のことは分からなかった。

最近、鶴見俊輔の本を読んでいたら、「ゲド戦記」に出会った。

原住アメリカ人の小部族ヤヒ族の最後のひとであった<イシ>と言う存在が根っこにあるらしい。
ヤヒ族は、白人が侵入してくる直前には三・四百人いたと言われている。
度重なる大殺戮の結果、イシ一人を残して一族は全滅していった。

『イシと親しく付き合った文化人類学者アルフレッド・L・クローバーは、ヤヒ族のことを「類のない忍耐力と強固な性格によって、有名なジョエロモニ率いるアパッチ族より25年も長く文明の流れに抗し続けた世界で最小の自由国家」と表現している』

『国家と言うと、最新のテクノロジーを使いこなすものでなければいけないとか、核兵器を持っていないものは国家ではないと言う風に、現代日本人の多くは、技術への信頼で国家を決めているのではないか。これに対してクローバーは、国家と言うものを言葉と主権から考えていく。言葉が違うし、最高の政治決定をその部族として行うのだから、国家なのだと言う考え方だ。そういうか考え方でいくと、ヤヒ族はもちろん1つの国家だった。』

『イシは、仲間たちを白人に殺されて、最後に残った4人の仲間と何年も何年も生きていた。5人の中にはイシの母親と、イシの女きょうだいもいた。その仲間の最期を看取って、たった一人になって2年暮らして、1911年8月29日早朝、意を決して文明の前に姿を現す。』

このイシの伝記を書いたのがクローバー夫人であったシオドーラ・クロバーであった。

そして、その娘アーシュラ・K・ル=グウィンが、「ゲド戦記」を書いている。

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